チラシやSNS画像を作るとき、どうすれば大切な思いや活動の魅力が、まっすぐ伝わるのでしょうか。参考デザインの集め方、情報の絞り込み、文字の大きさや背景とのコントラストなど、すぐに活かせるポイントを、10年以上のグラフィックデザインの経験をもとにお話しします。
信州安曇野にて新しい時代の暮らし創りをする颯香が、天命と向き合うあなたへ、本音で、時にちょっと辛口に語ります。
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ビジョンがまっすぐに伝わる画像デザインのポイント
これまでは生き方や、あり方の話を中心にしてきたのですが、今日はデザインの話をしてみようと思います。グラフィックデザイン、つまり、チラシやSNSの投稿画像などのデザインについてです。
人に伝え、行動してもらうためのデザイン
デザインの仕事をしていなくても、人に何かを知ってもらったり、行動してもらったりするために、デザインが必要になる場面はありますよね。今はCanvaやAIによって、誰でも見栄えのするデザインをつくれるようになってきました。
とはいえ、手づくりのチラシや画像を見たときに、目を引いたり、内容がまっすぐに伝わってきたりするものがある一方で、そうではないと感じるものもありますよね。ビジョンを見える化するシートをつくるにしても、イベントの案内画像をつくるにしても、せっかくなら、しっかり目に留まり、正しく伝わり、さらに魅力的に感じてもらえたら嬉しいですよね。
私は10年以上前から、グラフィックデザインや紙もののデザイン、ウェブデザインをしてきました。業種はさまざまで、ブライダル、食品関係、幼児教育、士業、先生業など、たくさんの業種のお仕事をさせてもらいました。
移住してからのこの2、3年は、必然を感じる案件にだけ、ときどき携わらせてもらう程度ですが、今回は、ご自身の思いや活動を伝えたいという方のお役に立てればと思い、デザインについてお話しすることにしました。
音声配信なので、ビジュアルを扱うデザインについては、お話しし切れない、伝え切れないところもあると思います。今回は「ビジュアル」と「テキスト」の2つのテーマに分けて、お話ししていきたいと思います。
ビジュアルの下ごしらえ―参考デザインを集める
まずは、ビジュアル、見た目についてです。お伝えしたいことは、たった1つです。ただし、いきなり少し中級者向けのお話になります。
初心者の方は、まずアプリのテンプレートに当てはめたり、同じ目的でほかの方がつくったものを真似して、そのとおりにつくってみたりする形で、まったく問題ないと思います。ただ、それだけではありきたりになったり、どこかで見たような印象になったりする場合がありますし、テンプレートでは、どうしても収まりが悪いこともありますよね。そんなときに役立つ方法であり、デザインの下ごしらえになるのが、「参考となるデザインを集める」というプロセスです。
Googleの画像検索でもよいのですが、おすすめはPinterestというウェブサービスです。Pinterestのサイト内で検索すると、おしゃれな画像がたくさん表示され、その中から参考にしたいものをピックアップできます。
例えば、森に関係する活動のイベントチラシをつくりたいとします。「チラシ 森」「チラシ アウトドア」などと検索すると、画像の一覧が表示されます。さらに、その中の画像をクリックすると、似たデザインがまた一気に表示されるので、関係するものをどんどん集められるんです。
周りの方がつくったデザインだけを参考にすると、どうしても同じ業種や、同じ目的のものばかりを集めることになります。Pinterestでは、たくさんのジャンルから探せることが1つのメリットです。そうすると、いかにも真似をした感じがなくなり、新しいものが生まれてくるんですね。
デザインのビジュアルと一口に言っても、レイアウト、配色、素材、つまり写真やイラスト、そして全体の雰囲気など、さまざまな視点があります。それぞれのチラシやウェブサイトを、いろいろな要素に分けて見ていくんです。たくさんのものを見て、よいところを取り入れると、単なる真似ではなく、新しいものが生まれます。
プロの方でも、いきなりデザインの作業に取りかかることは、あまりありません。こうしたプロセスを経て、参考になるものをたくさん集め、関係者の方と方向性をすり合わせてから着手したりします。次にチラシや画像をつくるときは、ぜひ最初に、参考となるデザインを集めてみてください。
テキストの下ごしらえ―文章の役割を整理する
続いて、テキスト、文章についてです。こちらも、まずは下ごしらえからお話しします。
SNSへの投稿文やメールの文章とは違い、チラシや画像では、文章の「構造」が大切です。構造といっても、まったく難しいものではありません。
例えばチラシには、複数の文章の塊がありますよね。最初に、それぞれの役割をはっきりさせます。「これはチラシのタイトル」「これはサブタイトルやキャッチコピー」「ここが本文」「ここが概要」「これは主催者の情報」というように整理します。場合によっては、「見出しと本文」のセットが3つあることもありますよね。
こうした整理ができたら、次は必要な情報に絞り込むことが大切です。テンプレートに当てはめる場合には、それほど起こらないかもしれませんが、だいたい文章が多くなり、長くなってしまいます。
たくさんの要素があるものを、辛抱強く見てもらうには、技術が必要になります。ですから、まずは潔く絞り込み、短くする。これがとっても大事です。
特に、場づくり、暮らしづくり、クニヅクリといったテーマでビジョンを出すときは、その中にたくさんの要素がありますよね。祈り、食、子どものこと、田んぼや畑など、それらを全部入れたくなります。
でも、人は5個、6個、10個もの要素を、一気に受け取ることはなかなかできません。3個、せいぜい4、5個くらいまでに絞って伝えることが大事ですね。
紙面を読む視線の流れ
さて、下ごしらえができたら、レイアウトをしていきます。ここで意識したいことは、2つあります。
3つと言いたいところなのですが、残る1つの「流れ」は、皆さん結構できているんです。流れとは、人の目がどのように紙面の上を動いていくか、ということです。
基本的に横組みの文章であれば、視線は左上から始まり、Z型に流れて、右下で終わります。そのため、左上にタイトルを置き、右下に「こちらからお申し込みください」といった情報を入れます。変則的なレイアウトもたくさんありますが、この視線の流れは、皆さん意外とできていると思います。
1.文字の「ジャンプ率」を意識する
特にお伝えしたいことの1つ目は、初めて聞く言葉かもしれませんが、「ジャンプ率」を意識することです。ジャンプ率とは、文章の塊同士の大きさの差、文字サイズの違いのことです。
まず、チラシや画像のタイトル、キャッチコピーは、一番目立ってほしいものですよね。そこをしっかり大きくし、本文は小さくします。この差が大切です。タイトルが目に留まって初めて、その紙面を見てもらえます。
例えば、印刷したチラシが壁に貼ってあるところを想像してみてください。何メートル先から、その文字が目に入ってくるでしょうか。たくさんのチラシが並んでいる中で、手に取ってもらえるでしょうか。
SNSであれば、たくさんの投稿が流れている中で、指を止めてもらえるでしょうか。タイトルの文字が小さいと、目に入ってこないんですよね。ですから、タイトルの大きさは重要です。タイトルを見て「これは自分に関係がある」と思ってもらえて初めて、中を読んでもらえるんです。
無事にタイトルが目に留まり、読み始めてもらったら、次は見出しと本文です。この見出しと本文をセットにしたときも、見出しを大きくし、本文を小さくします。
本文は、「読まれない」と思うくらいで、ちょうどよいと思います。今の人は、本当に忙しいです。活字に飢えているような方は隅々まで読むかもしれませんが、たいていは見出しをさっと目で追い、気になったときにだけ本文を読みます。ですから、見出しだけを見ても、さっと内容が分かるチラシや画像になっているとベストです。
慣れていないと、タイトルも見出しも本文も、同じくらいの大きさになりがちです。文字の大きさにメリハリをつけられるようになると、目に飛び込んでくるチラシになると思います。
2.文字と背景のコントラストをつくる
2つ目は、文字の色と太さです。文字は、背景とのコントラストがあることで読めます。例えば、白い背景に黒い文字なら、コントラストがあるため見えますが、白い背景に白い文字では見えませんよね。
特に、写真やイラストの上に文字を重ねるときは、読みにくくなりがちなので注意が必要です。そんなときは、文字色とコントラストのある色を文字の下に少し敷き、写真、その色、文字という順に重ねます。
あるいは、文字に影や光彩を入れる方法もあります。光彩とは、光がふわっと広がるような効果です。このように、文字と背景の間にコントラストが生まれる工夫をします。
また、文字を重ねることで、下の写真やイラストがどのように隠れるかにも気を配る必要があります。意外とやりがちなのが、人の顔に文字を重ねてしまうことです。気にならない方は気にならないのかもしれませんが、気になる方はとても気になるので、そこにも配慮するとよいですよね。
白抜きの文字、つまり白い文字にも注意が必要です。実は人間は、白い文字を読み飛ばしやすいんです。黒や、はっきりした色を使うなど、特に読んでほしいところは白抜きにしない工夫も必要ですね。すべてをそうする必要はありませんが、大事なところでは意識してみてください。
事例1―「安曇野縄文ビレッジ」のビジョンシート
音声なので、なかなか伝わりにくいところもあるかもしれません。ここからは事例として、私がこれまでにつくってきたものについてお話ししてみたいと思います。私のウェブサイトの「暮らしづくり」のページに事例を載せていますので、よかったら見てみてください。

まず、3年前につくった「安曇野縄文ビレッジ」のビジョンシートです。これを見たときの第一印象として、どのようなものが目に入ってくるかというと、まずは色合いです。
白い背景に、落ち着いた青い文字が並んでいます。そこに、ふわっと淡いレモンイエローも入っています。
これを見た方は、おそらく安曇野の水や山々のすがすがしい雰囲気を、青色から連想してくださるのではないかと思います。青色は、誠実さや純粋さを表す色でもあるので、そのとき私が届けたかったメッセージ性や立ち位置も、そこに表れると思います。
レモンイエローは、明るさや新鮮さを表します。これから未来をつくっていくという、そのビジョンのエネルギー感に合う色です。そうしたことを考えて、色を選びました。私の思いはもちろん純粋ですが、こういったところは計算してつくっているつもりです。
文字のジャンプ率を見ると、「安曇野縄文ビレッジ」という大きなタイトルが、まず目に飛び込んでくると思います。それと同時に、イラストもきっと目に入ってきます。そして、こういった世界に関心のある方が、手を止めてくださると思います。
この紙面では、プロフィールの文字がかなり小さく、タイトルとは大きな差があります。このあたりも、見ていただくと面白いと思います。
文字は、イラストにかからないように配慮しています。かかるところには、うっすらと光彩を敷いて読みやすくしながら、イラストの世界観を壊さず、馴染むように文字を置いています。
このビジョンシートは、イラストの上に載せた文字の要素が多いんです。「祈り・祭り・芸術」「みんなで子育て」など、数えてみると15の要素があります。
これを文字だけ、あるいは写真と文字だけで並べたら、きっとうんざりすると思うんですね。でも、イラストの世界観をつくり込んでいるからこそ、見たくなってしまう。これは、工夫と技術です。
事例2―「ノラノワ」のチラシ
もう1つ、私が活動を始めて2年くらいたった頃につくった、市民団体「ノラノワ」の活動チラシも掲載しています。このチラシでは、12枚の写真を輪のように配置しています。


これだけたくさんの写真を均一に並べると、少し「うっ」となってしまいます。でも、配置にリズムをつけることで、見ていて楽しくなるものになっていると思います。これも、飽きずに見てもらうための工夫です。
暮らしづくりのチラシなので、たくさんの要素を含む活動ですが、文章は3つのポイントに絞っています。「食と農を大きな家族で」「野らの学び」「森を整え活かす」の3つです。これくらい絞らないと、なかなか見てもらえないんですよね。
デザインは、思いやりとおもてなしの積み重ね
ということで、まとめていきます。デザインの技術はたくさんありますが、すぐに活用できて、音声だけでも伝わりやすそうなところをお話ししたつもりです。音声で伝えられることには限界もあると思いますが、何か参考になればと思います。
デザインのセオリーは、難しいものではありません。1つひとつ見ていくと、伝えるための思いやりと、おもてなしの積み重ねでできていると思います。愛がまっすぐに伝わるように、おもてなしの技術を磨いていけたらよいなと思って、私も取り組んでいます。
今はAIがとてもよくなっていて、お願いすると、大きく破綻しないデザインを十分につくってくれるレベルになってきたと思います。ただ、まだその人らしさまで描き切ったものには、なっていないようにも感じます。
だからこそ、使う私たちが、活動の根っこにあるものや思い、自分らしさを自覚し、さらにそれを言語化できるようになることが大切です。そうすると、きっとAIの活用も、もっとよいものになると思います。
お話しし切れたでしょうか。何か参考になったら幸いです。それでは、また次回お会いしましょう。
お読みいただきありがとうございます。
些細なことでも、お声を聴かせていただけると嬉しいです!



